
そんなニーズにお応えした、労働基準法をひと通り学べるこのシリーズ!
元労働Gメンがわかりやすく解説します♪
今回は、次のような疑問に答える内容で解説していきます!

労働時間とは

そもそも論ですけど
労働時間ってなんでしょうか

労働時間とは、事業主の指揮・命令下で労働している時間のことです!
法定労働時間と所定労働時間

労働時間といえば、法定労働時間・所定労働時間といった表現がありますね

法定労働時間とは労働基準法で定められた労働時間のことです
所定労働時間とは、事業場ごとに定められた始業から終業までの時間のことです
- 1日の労働時間は8時間まで
- 1週の労働時間は40時間まで
- 事業場で決めた始業時刻から終業時刻の間の労働時間のこと
- 例:始業9:00 終業17:00 休憩1時間 → 所定労働時間は7時間

法定労働時間を超えて労働した時間は時間外労働となります

休憩時間は労働時間に含めない

昼休みなど、休憩時間は労働時間とはカウントしませんよね

はい、そうですね

友人は、昼ご飯を食べながら電話番をしているそうです
それでも休憩時間は労働時間には含まれませんか?

休憩時間と言っても、自由利用できない時間は労働時間と判断される可能性があります
後述「これって労働時間?」をチェック
パート・アルバイトの労働時間

パートやアルバイトの労働時間も同じ考え方ですか?

パートやアルバイトの方も法定労働時間は1日8時間・1週40時間です!
管理職の労働時間

管理職の労働時間は、一般の労働者と違う扱いでしたよね

労働基準法では管理監督者と呼び、労働時間の定めが適用除外です。
ただし、管理監督者の範囲は一般的に言う管理職よりも狭いので要注意!
部長や課長といった役職名ではなく、実態で判断されます
次のような条件に該当する労働者のこと
- 経営者と一体的な立場といえる職務内容で、それに伴う責任や権限を与えられていること
- 管理監督者としてふさわしい待遇がなされていること

「重役出勤」という言葉が管理監督者をよく表していると思います。
労働時間が適用除外なので、「遅刻」という概念がそもそもない!
時間外労働とは
法定外労働時間と所定外労働時間

法定外労働時間と所定外労働時間って、さっきやりませんでしたっけ?

それは、法定労働時間と所定労働時間でしょ
今度は、法定外労働時間と所定外労働時間!

つまり、時間外労働のことです!
残業という言い方の方が身近でしょうか?
- 法定労働時間(1日は8時間・週40時間)を超えて労働した時間のこと
- 法定外労働時間を除き、始業時刻より前または終業時刻より後に労働した時間のこと

時間外労働ということは、割増賃金を払ってもらえるんですよね?

時間外労働に対しては、その分の賃金の支払いが必要です。
ただし、時間外労働でも法定外と所定外では支払い方が異なります!
36協定を締結せず時間外労働をさせると違法

時間外労働と言えば、必ず出てくるキーワードが36協定ですよね

はい!法定外の時間外労働が1分でもある場合は、36協定の締結と届け出が必要です!

所定外の時間外労働は、36協定なしでもよいのですか?

ええ、36協定が必要なのは、法定外の時間外労働をさせる時だけです。
ただし、時間外労働が1分もないという事業場はまれだと思いますので、届け出ておいた方が無難です
時間外労働の上限

僕は残業したくない派です!
時間外労働って、法律上は何時間までさせられちゃうんでしょうか

法律上の上限は、最大で、月100時間・年720時間です
(36協定で協定した場合)

えぇっ! ひゃ、ひゃく・・・

あくまで「上限は」です!
法律の上限の範囲内で36協定を締結し、36協定の範囲内の時間外労働とする必要があります。
このため、なるべく短い時間数で36協定を締結することが望ましいですね
労働時間の把握・管理

労働時間の把握は、労務管理の中で最も重要と言っても過言ではありません!
客観的な方法で把握する

当社ではICカードで労働時間の記録をしています

ICカードのような客観的な記録方法、いいですね!

基本的には1の客観的な記録による方法で、労働時間を把握しましょう
使用者が労働者とずっと一緒に労働しているような場合は、2の方法で労働時間を記録することもできます(使用者が開店から閉店までいる小規模の飲食店等)
始業及び終業時刻を記録する

ICカードを導入前は、労働時間数を自己申告で記録させるスタイルの出勤簿でした

労働時間数だけではなく、始業及び終業時刻を記録することが使用者に義務付けられています
労働時間は1分単位でカウント! 15分単位はNG

僕の学生時代のアルバイト先では、15分単位で労働時間を切り捨てられていました!

それは法律違反ですね
労働時間は、原則として1分単位で管理しましょう!
切り上げはOKですが、切り捨てはNGです
時間外労働時間の端数処理

分単位の管理は当然だと思うものの、割増賃金の計算をするときめんどくさそうです

もお~また勝手なこと言って

割増賃金の計算の際には、事務処理をラクにするために端数処理をしてもOKですよ
- 時間外労働、休日労働、深夜労働、それぞれの1か月の合計時間数に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げること。
例:25時間29分→25時間00分
25時間31分→26時間00分 - 1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げること。
- 時間外労働、休日労働、深夜労働、それぞれの1か月における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2と同様に端数処理すること。

1は、労働時間が切り捨てられてしまう可能性もありますが、切り上げられる場合もあって一方的に労働者の不利にはならないので、OKとされています。
金額を計算する際には、2(時給)と3(総額)の2段階で四捨五入ができるわけですね
これって労働時間?

職場で過ごす時間の中には、労働時間かどうか迷う時間ってありますよね

よくトラブルになる時間について、考えてみましょう!
お昼休みの電話番

友人の勤務先では、交代で昼休みに待機して、電話や来客に対応する「昼休み当番」があるのだそうです

こういった「昼休み当番」は休憩時間ではなく手待ち時間と言えますね。
つまり、労働時間として取り扱い、休憩は別途取らせないといけません
- 現実に作業はしていないが、使用者から就労の請求があればいつでも就労できる状態で待機している時間のこと。
- 作業をしていないので休憩時間とみなされがちだが、使用者の指揮命令下にある時間なので、原則として労働時間となる。
始業前の朝礼・体操・掃除

始業前の朝礼や体操、職場の掃除などは、どうでしょうか?

参加することを使用者から指示されている場合は、労働時間です
明示的な指示だけではなく、黙示的な指示がある場合も同様です

とはいえ、職場で「朝礼に出て」「体操に参加して」「掃除をして」と言われたら、普通労働者は指示されたと受け取るでしょうね。
よくトラブルになりますので、使用者側は、このようなことは変に始業前とかにやらせずに、いっそのこと全て労働時間内に行うのが一番です!
着替え

制服に着替える時間はどうでしょうか?

制服に着替えることが義務ならば、原則として着替えの時間も労働時間と言えるでしょう
労働時間の適用除外となる場合

さきほど、管理監督者は労働時間の適用除外と伺いました

そうですね
労働基準法第41条で適用除外となる労働者が定義されています
労働基準法 第四十一条(労働時間等に関する規定の適用除外)
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
↓一から三号をもうちょっとわかりやすく・・・

労働時間の適用除外ということは、
- 「労働時間は1日8時間・週40時間以内で、それを超えれば時間外労働」という概念がない
ということ。ただし、残業代未払などのトラブル頻出なので、慎重な判断が必要!
深夜労働と年次有給休暇は適用除外にならないという点も要注意
副業・兼業の場合の労働時間(法38条)

僕の友人は、2つの仕事をかけもちしています
副業や兼業をする人、最近増えていますよね!

ですね!
複数の事業場で労働している場合、労働時間は通算して考える必要があります

色々な労働時間制度

「1日8時間・週40時間」という基本の労働時間制度以外にも、様々な労働時間制度があります
変形労働時間制
- 平均すると週40時間となるように、労働時間を配分できる制度
- 1か月単位と1年単位(1か月を超えて1年以内の期間)がある
- 繁忙期や閑散期のある業種や、月初や月末など特定週が繁忙になる業種に向いている制度
事業場外みなし労働時間制
- 労働者が事業場外で労働(例:外回りの営業)し、かつ、「労働時間を算定することが難しい」場合に、あらかじめ決められた時間を働いたとみなす制度
- あらかじめ労使協定で1日のみなし労働時間を協定する
- みなし労働時間を「8時間」と協定した場合、対象労働者の外出時間が「9時間」でも「6時間」でも、その日の労働時間は「8時間」として取り扱う
フレックスタイム制
- 3か月以内の一定期間の総枠時間をあらかじめ決め、その範囲で労働者本人に始業時刻と終業時刻を自由に決定させる制度
- 総枠時間の範囲内であれば、とある日やとある週の労働時間が8時間や40時間を超えても時間外労働とならない
裁量労働制
- 業務のやり方を労働者の裁量に委ねる必要のある職種が対象
- 実際の労働時間ではなくあらかじめ労使間で定めた時間を労働時間とみなす制度
- 対象は厚生労働省が定めた業務に限定されていて、「専門業務型」と「企画業務型」がある
高度プロフェッショナル制度
- 法律で定められた高度の専門的知識を有し、職務の範囲が明確で、一定の収入要件(年収1,075万円以上)を満たす労働者を対象として、労働時間や休日などの規定が適用除外となる制度
- 労使委員会の決議および労働者本人の同意が必要
労働時間関連の注目ワード
勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度、最近耳にします
当社ではまだ導入していませんが・・・

今のところ導入は努力義務ですが、内容は知っておいた方がよいでしょう
終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保すること

過労死ライン

過労死ラインって、時々耳にしますけど、なんだか怖いワードっていう印象です

過労死ラインは法律用語ではないのですが、次のような意味をもちます
- 単月で100時間以上の時間外労働
- 2から6か月を平均して1か月あたり80時間以上の時間外労働
- (あるいは、2から派生して単月で80時間を超える時間外労働を指すことも)

基本的には月80時間を超える時間外労働は長時間労働となります
過労死が起こってもおかしくない残業時間数とされていますので、要注意です!
まとめ:労働時間を学ばずんば虎子を得ず

労働時間って奥が深いです・・・
まだ入り口にも立てていない感じがしてます

労働時間は労務管理の基本だけど、きちんと理解できるまで日々勉強です

ところで我が林檎物産は、フレックスタイム制で裁量労働制で変形労働時間制なんでしたっけ?

どれも違うし!