企業研修にも採用!労基署調査への正しい対応を学ぶUdemy講座

元労働Gメンの視点

突然ですが、このたび、私のUdemy講座、

「労働基準監督官はここを見ている!労基署調査の流れと正しい対応を元・労働Gメンが解説」

が、Udemy Business(ユーデミー・ビジネス) に採用されました🎉

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Udemy Businessは、世界中の企業・自治体・教育機関で利用されている法人向け研修プランで、採用される講座は、受講者評価や人気、コンテンツの質・実務での有用性など、いくつもの観点から選定されています。

つまりこの講座が、多くの企業の研修にも活用していただける内容と評価されたということになります。

これもひとえに、これまで受講・応援してくださったみなさまのおかげです。本当にありがとうございます!

今回は、Udemy Business採用を記念して、この講座の内容の中で「気になる人が多いトピック」をご紹介します!

労基署が調査に入るきっかけとは?

「うちはちゃんとやっているのに、なぜ調査が入ったんだろう?」
そんな声をよく聞きます。

労基署の調査には、いくつかのきっかけがあります。

たとえば——

  • 労働者やその家族などから情報提供があった場合
  • 労働者からの申立てがあった場合
  • 労災が発生した場合
  • 重点業種や行政の重点テーマに該当する場合

これらはいずれも、調査の端緒となる代表的なケースです。

いずれにしても、調査の目的は「罰すること」ではなく、法令を守れているかを確認し、必要に応じて改善を促すための行政指導です。

講座の中では、

  • 調査の種類(臨検・呼出)と流れ
  • 提示を求められる主な書類(労働条件・安全衛生)
  • 用意できない書類がある場合の対応
  • 臨検と呼出の違い、拒否はできるのか

など、実際の調査の進め方や準備のポイントを具体的に解説しています。

労働基準監督署の調査の全体像を理解しておくことで、必要以上に構えず、冷静に対応できるようになります。

呼出調査と臨検調査、どっちが怖い?

「呼出調査と臨検調査、どっちが厳しいの?」
企業の担当者から、時々こんな質問を受けました。

結論から言うと、どちらが“怖い”というより、それぞれ役割が違うのです。

呼出調査は、企業が労働基準監督署に出向き、帳簿類を提示して説明を受ける方式。
労働時間や賃金の記録など、主に“書類中心”で確認が行われます。

一方の臨検調査は、労働基準監督官が事業場に直接入り、現場の安全衛生や労働条件の実態を確認する調査です。
必要に応じて、労働者への聞き取りや設備の確認も行われます。

本来の監督は、予告なしに行う臨検が基本です。

ただし、事前に連絡したうえで行うほうが適切な場合や、複数の事業場を対象にまとめて確認する場合などは、呼出調査として実施されることもあります。

また、臨検といっても書類を中心に確認するケースも多く、必ずしも現場を細かく見て回るとは限りません。

“臨検=怖い”という印象を持たれがちですが、実際には、突然来られることへの驚きや緊張感から、そう感じられることが多いようです。

ただし、労働基準監督官は頭から「悪いことをしている」と決めつけて来るわけではありません。

仮に法令違反が見つかった場合でも、いきなり処罰するのではなく、まずは文書による指導で改善を促すのが基本の流れです。

講座では、次のような実務ポイントを解説しています。

  • 呼出と臨検の流れと違い
  • 当日に確認される書類や質問内容
  • 調査に出席すべき人

調査の仕組みを知っておくだけでも、突然労働基準監督官が調査にやってきた場合の不安をぐっと減らすことができます。

是正勧告書が交付されたらやるべき3つのこと

労働基準監督署の調査が終わると、「是正勧告書」や「指導票」といった指導文書が交付されることがあります。

初めて受け取るとドキッとしますが、すぐに処罰や罰金につながるものではありませんので、落ち着いて対処しましょう。

これらの文書は、調査で確認された法令違反などの項目について、「ここを直してほしい」という行政からの改善要請をまとめた文書です。

まずやるべきは、次の3つです。

1️⃣内容を落ち着いて確認し、わからない点は担当監督官に相談を

是正勧告書は専門用語や分かりにくい言い回しも多く、説明を受けても理解しづらい場合あります。

そんな時は、不明点について、遠慮なく担当の労働基準監督官に確認しましょう。

意味を誤解したまま対応すると、是正報告のやり直しになることもあります。

2️⃣担当者だけで抱え込まず、経営者・関係者と共有を

労務担当者の中には、文書指導への対処を一人で抱え込んでしまい、重い責任を感じてしまう方がいます。

でも、指導文書の内容は組織全体で受け止めるべき課題

経営者や現場責任者などの関係者を巻き込み、会社としてどう改善するかを一緒に考えることが大切です。

3️⃣表面的な対応で終わらせず、持続可能な改善につなげる

指導された内容を「報告のためだけに」直すのではなく、同じ法令違反が起こりにくい仕組みづくりにつなげる視点が大切です。

講座の中では、指導文書の種類や是正報告書の書き方についても解説しています。

是正勧告は“罰”ではなく、職場をよりよくするためのきっかけ。
内容を正しく理解して、前向きな改善につなげていきましょう。

時間外労働は法違反の多い“要注意”テーマ

労働基準監督署の調査で、最も重要視されていると言っても過言ではないのが「労働時間」です。

2019年の法改正で時間外労働の上限規制が導入されて以降、この分野はより厳しく確認されるようになりました。

また、令和の時代となっても、過重労働に関する労働者からの相談は後を絶たず、長時間労働が原因で脳・心臓疾患を発症したり、精神疾患を発症して自殺に至るなど、深刻なケースも発生しています。

労働基準監督官がまずチェックするのは、36協定の内容と労働時間の記録。

36協定が適切に届け出されているだけでは不十分で、本当に大切なのは、その後の運用です。

上限規制の内容は細かく、そのために範囲内かどうかの確認が漏れているケースも少なくありません。結果として、意図せず法違反となってしまうこともあります。

講座では、労働基準監督官が実際にどのように上限規制の範囲内を確認しているかについても解説しています。

年次有給休暇は、労基署が特に重視する調査ポイント

2019年の法改正以降、事業者には労働者に年5日以上の年次有給休暇を取得させる義務が課されました。

日本は先進国の中でも有給休暇の取得率が低く、国としても改善が強く求められています。

令和6年に閣議決定された「過労死等防止対策大綱」では、令和10年までに年次有給休暇の取得率を70%以上にするという数値目標が掲げられています。

そのため、労働基準監督署としても、有給休暇の取得状況には特に目を光らせているのです。

特に、調査で法違反を指摘されやすいのは次のようなケースです。

  • 年5日の有給休暇を取得できていない労働者がいる
  • 計画的付与をしているが、労使協定が未締結・期限切れ
  • 年次有給休暇管理簿が整備されていない

中には、管理簿の作成が形骸化しているケースもあります。

本来、管理簿は「労働者が年5日以上の有給休暇を取得しているか」を確認するためのもの。ところが、形式的に作っているだけで実際の取得状況を把握しておらず、監督署の調査で初めて「年5日取得できていない労働者がいた」と気づく企業もあります。

講座では、取得状況の管理方法や、年次有給休暇管理簿の整え方のポイントについても解説しています。

年次有給休暇は、労働者の関心が高く、企業イメージにも直結するテーマ。

法令遵守だけでなく、働きやすい職場づくりと人材定着につなげていくことが大切です。

安全・健康管理面での“見落としがち違反”

労働基準監督署の調査では、職場の安全・健康管理に関する法令違反も少なくありません。

これらの分野は、現場の担当者が特に苦手意識を持ちやすい領域です。その理由のひとつは、根拠法令の多さ。

健康診断や安全衛生管理の基準は、労働安全衛生法のほか、施行令・施行規則・告示など、膨大な関連法令にまたがっています。

また、労働時間や賃金のトラブルと違って、労働者からの相談をきっかけに改善されることが少なく、結果として見落とされがちなのです。

企業が見落としやすく、法令違反となってしまうのは次のようなケースです。

  • 深夜労働(早朝勤務を含む)を行う労働者の特定健診未実施
  • 健康診断後の医師の意見聴取を行っていない(健診機関の判定だけで済ませている)
  • 長時間労働者に対する面接指導を実施していない
  • 衛生管理者の未選任(正社員が少なく、パート・アルバイトを含めると常時50人以上になるケースで見落としがち)
  • 安全衛生委員会の議事録を労働者に周知していない

講座では、労働基準監督官が安全衛生について実際に確認していく具体的なチェックポイントを解説しています。

Udemy Businessに採用された労基署調査の講座に興味がある方へ

この記事では、労働基準監督署の調査に関して、「気になる人が多いトピック」をいくつかご紹介しました。

このほか、講座の中では、

  • 提示を求められた書類を準備中に法違反を見つけた場合は?
  • 調査を拒否してもいいの?
  • 法違反は公表されるの?
  • 送検や企業名が公表されるのはどんなケース?

といった疑問についても、元労働基準監督官としての経験をもとに、わかりやすく解説しています。

この講座は、受講生のみなさまの応援のおかげで、Udemy Business にも採用されました。

多くの企業の研修でも活用される内容として評価されたことを、とても光栄に思っています。

正しく知ることが、不安を小さくし、労働基準監督署の調査が入っても慌てずに「合格点」をとるための備えにつながります。

ぜひ一度チェックしてみてください。

※この記事はnoteで公開した内容を加筆修正したものです。