今回、職場の「健康管理」をテーマにした本を出版しました。
きっかけは、社会保険労務士として活躍されている元労働基準監督官の先輩から、「安全衛生の本を書いてみない?」と声をかけていただいたことでした。
(今回そのまま監修もしていただいています!)
私自身、現役の労働基準監督官として多くの事業場を調査した中で、職場の健康管理に関する法令違反が決して少なくないと感じていました。
健康管理を含む職場の安全衛生分野は、担当者が“苦手意識”を持ちやすい領域です。
その理由の一つが、根拠となる法令がとても多いこと。
労働安全衛生法を中心に、施行令・施行規則・指針・告示……と関連する事項が膨大で、法令を行ったり来たりしないと全体像がつかめないという状況があります。
調査や相談対応の場面でも、
「何をどの順番でやればいいのか」
「この対応はどこまでやればいいのか」
と迷われる担当者の方がとても多い、と日々実感してきました。
そこで今回、安全衛生の中でも特に重要な“職場の健康管理”について、必要な知識を体系的に整理した1冊としてまとめました。
この記事では、この本の見どころをお伝えします。
担当者におこる健康管理のギモン
職場の健康管理について、こんな疑問を感じたことはありませんか?
◆必要な労働者に、必要な健康診断がきちんとできているのか不安……
健康診断には、雇入れ時・定期・特定業務など種類があり、「うちの会社は、法令上すべき健診を、必要な労働者に実施できているのかな?」と迷いやすいポイントです。
◆健康診断ってやったら終わりじゃないの?
健康診断は、実施して終わりではありません。
結果通知、医師の意見聴取、事後措置、記録保存など、次のステップがいくつもあります。
◆長時間労働者の面接指導って、どう進めればいいの?
対象者の選定、医師の面接指導、意見聴取……。
具体的に何をどの順番で進めればいいのか、迷う方が非常に多いテーマです。
◆「労働時間の状況の把握」って普通の労働時間管理と違うの?
労働基準法上の労働時間管理と、労働安全衛生法上の「労働時間の状況の把握」は別物です。
この違いがわかりにくく、実務担当者の疑問になりがちです。
◆ストレスチェックの制度、運営には気を遣うし、細かいところで迷ってしまう……
実施者の資格、実施手順、高ストレス者への対応、事後措置……。
ストレスチェックは“神経を使う業務”であり、担当者が不安を感じやすい分野のひとつです。
本書では、これらの疑問にも答える内容でわかりやすく解説しています。

この本で身につく5つの重要な健康管理
本書では、職場の健康管理を進めるうえで欠かせない5つの実務ポイントを中心に整理しています。
担当者が特につまずきやすい部分を、わかりやすく理解できるようにまとめることを意識した構成です。
① 健康診断の種類と必要な対象者を正しく判断できるようになる
雇入れ時、定期、特定業務などの健康診断の対象者を整理し、「どの労働者に、どの健康診断が必要か」 が判断できるようになります。
② 健康診断後の対応フローが理解できる
健康診断は、実施して終わりではありません。
むしろ、実施後の対応の方が重要です。
結果の通知、医師の意見聴取、事後措置、記録保存、報告まで、後のステップを“漏れなく・迷わず”進めるためのポイントを解説しています。
③ 長時間労働者の面接指導の進め方がわかる
長時間労働者の健康障害防止は、現場にとって重要な課題です。
対応に漏れがあれば、脳・心臓疾患発症のリスクにもつながります。
対象者の選定から、医師の面接指導、意見聴取、事後措置まで、必要な流れを実務目線で理解できる内容になっています。
④ 労働時間の「状況の把握」の意味と実務とのつながりがつかめる
労働基準法の労働時間管理と、労働安全衛生法の「労働時間の状況の把握」は別の考え方です。
その違いや、健康管理との関係性について、実務担当者が理解しやすい形で整理しています。
⑤ ストレスチェック制度の“複雑なポイント”がクリアになる
実施者となりうる者、実施手順、高ストレス者の選定、事後措置……。
毎年実施する中で迷いやすい部分について、具体的に押さえるべきポイントがつかめる内容になっています。
これらの5つを、図解や事例、Q&Aを交えながら、現場で“今日から使える知識”として理解できるようにまとめています。

かゆいところに手が届く内容の“Q&A”も必見!
本書には、本文では説明しきれない、「実務で迷いやすいポイント」を解説するQ&A(コラム)も充実しています。
健康管理の分野では、法律の条文や通達に書いていない部分で、「ここはどうすれば?」と迷う場面が多くあります。
例えば──
- 雇入れ健診の実施を職場全体の健康診断まで保留にできる?
- パート労働者や有期契約労働者はどこまで健康診断の対象?
- 健康診断の費用と賃金、事業場が負担すべき範囲とは?
- 健診機関の総合判定が「就労可」でも、医師の意見聴取は必要?
- 労働者が申し出なければ⾧時間労働者の面接は不要?
- 「客観的な方法により労働時間の状況を把握し難い場合」とは?
- ストレスチェックの「実施者」として認められる人とは?
こうした “担当者のリアルな疑問” に対し、元労働基準監督官としての実務経験を踏まえた視点で、わかりやすく丁寧に回答しています。

こんな方におすすめ
本書は、次のような方に特におすすめです。
▶︎健康診断・面接指導・ストレスチェックなど、健康管理の実務を担当している方
毎年やっているのに、細かいところで迷いやすい部分をスッキリ整理できます。
▶︎安全衛生担当になったばかりで、何から手をつければいいかわからない方
やるべきことの流れが一目でつかめるように構成しています。
▶︎人事・総務部門で、健康管理の専任担当ではないが相談を受ける機会が多い方
必要な対応をすぐ確認できる “実務の辞書” のように使えます。
▶︎労働基準監督署の調査に向けて、社内の健康管理の状態を把握しておきたい方
事業者が負うべき法令上の責務や実務ポイントも整理できます。
▶︎管理職として、労働者の健康管理のポイントを最低限押さえておきたい方
法令の仕組みを含め、知っておくべき要点を短時間で理解できます。
職場の健康管理は、すべての事業場に共通する大切なテーマです。
「なるべく迷わず、実務を進めたい」という方のお役に立てる内容になっています。
おわりに:職場の健康管理は最重要テーマ
職場の健康管理は、労働安全衛生の中でも「最重要」といえるテーマです。
健康診断やストレスチェックは、単なる“制度上の義務”ではなく、働く人の健康と命を守るための、大切な仕組みです。
一方で、担当者の皆さまにとっては、「やり方がわかりにくい」「負担が大きい」と感じる場面も多いのではないでしょうか。
だからこそ、迷ったときに立ち返る“地図”のようなものが必要だと考え、今回の1冊をまとめました。
本書が、みなさまの職場の健康管理を進めるうえでの「ガイド」や「チェックリスト」のような存在になり、働く人の健康を守る取り組みに役立てていただけたら嬉しいです。
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本書は 電子版(Kindle) と 紙版(ペーパーバック) の両方でご購入いただけます。
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※この記事はnoteで公開した内容を加筆修正したものです。
